VISION VALLEY
社会人になると自分の時間が失われるということはよく聞いていたけど、本当に自分の時間など皆無に等しい生活リズム。
本日も突然週末の休日出勤を言い渡されて、資格試験の勉強もままならない日々。
自己研鑽期間と分かってはいるが納得がいかない時もある。
そんな鬱蒼とした気分なんて忘れさせてくれる最高のサウンドトラック。
現代を生きる詩人クレイグ・ニコルスの奏でる音、紡ぐ言葉。
自閉症を告白し、世界からの遮断を感じながら世界と対話を続けてきた男の叫ぶ声。
彼には商業的ロックのような楽曲を派手に装飾する概念は無い。
クレイグによって紡がれる13の音楽はトータルタイム31分、最終曲「Space Ship」を除いては1曲わずか3分にも満たない、極限まで贅肉を削ぎ落とされたキレとフックと彼の言葉によって構成される音。
革新的な変化は見られない、革新的な変化は必要ない、僕が待ち望んでいたのはこの音だ。
1曲目「Anysound」のイントロを聴いた瞬間にThe Vinesだと分かるこの音だ。
「僕はねじれて、擦り切れながら、なんとか光を見つけようとしている葡萄の蔦(Vine)」
と歌うクレイグの言葉はどんな言葉よりも正直で力強い。
終焉の淵から甦ったクレイグ・二コルス、そしてThe Vinesの魂の叫び声。
何度逃げたっていいんだ、格好悪くたって何が悪い、要領良く生きようとも思ってない。
辛い事や苦しい事はたくさんあるけど、僕は1人じゃないから。
何かに寄り添いながら懸命に生きる蔦みたいに、ただ自分らしく世界に根をはって空を目指していけりゃあいい、そう思う。
色々な音楽があるけど、私情を挟まないで語ることの出来ない数少ない音楽。
それがクレイグ・ニコルス率いるThe Vinesという音楽。
全然音楽レビューにはなってないけど、解説なんて出来ないし必要ない音。
世間的には「Nirvana Meets The Beatles」なんて称された音。
よかったら聞いてみてくださいね。